印鑑を持つということ

印鑑に関する私の思い出なのですが、初めて私が自分の印鑑を手にしたのが、中学を卒業した時でした。卒業記念品として印鑑を学校からもらいました。何度も何度も紙の上に押しては、印鑑をもっている実感に酔っていたものです。何か自分が一人前の大人になったみたいな気がして、とにかく、この印鑑をどこかで使ってみたいという衝動にかられて、その機会をうかがっていたところ、何日かして、デパートの配送品が自宅に届けられた時に、その印鑑を震える手で押しました。あの時の感触は今になっても少し覚えています。次に印鑑を自分で作ったのが、社会人になって少し経った頃だったと思います。勤務先に印鑑証明書を提出しなくてはいけなくなり、認印みたいな印鑑しかなかったので、これを機に実印にする印鑑を作ることにしたのです。認印とは比べ物にならない程の大きさと重厚さがあり、早速、役所へ行って実印登録を済ませ、印鑑証明書なるものも初めて取得しました。家に帰って実印を取り出し、中学卒業時の頃の自分みたいに紙に実印を何回も押し、印鑑証明書と見比べていました。この時の感想は自分もやっと一人前の人間になれたような不思議な感覚がありました。社会人としてスタートをきったこともあり、実印を持つことが、責任感を持つことに繋がっていたような気がします。会社にも慣れてきて、何度か実印を押す機会もあり、段々とその感動や思いも薄れてきていましたが、やはり、今でも、重要な書類に署名し、その横に実印を押す場面になると、何とも言えぬ緊張感があります。印鑑一つの事なのに、何か気持ちを引き締めさせてくれる力が印鑑にはあるような気がして、ある意味、印鑑は自分の気持ちや意思を最後に確認させてくれるものなのかもしれないと思います。